学校の先生を職業としているが、そもそも私は人の前に立つことが苦手だ。どうして教壇に立てているのか、不思議に思うこともある。人の前に立ち、人を導く。そんな気負いがふと解けた瞬間があった。教会で羊飼いのお話を聞いた時である。
羊は群れで生活することしかできない。でも個性があるから、羊飼いが群れを統率する。羊飼いはどこから羊を見ているかというと、群れの一番後ろ。後ろからはぐれる羊がいないように見守ってあげる。リーダーと聞くと、「先導者」と訳してしまう人が多い。でも、羊飼いは羊のリーダーであるが、先導はしない。後ろから見守る役目。イエスさまも迷える小羊である人間をそうやって守ってくださるのだ、と。
そのお話を聞いた時、自分の中の気負いがふっと解けた。教師って子どもたちの前に立つことが全てではない。むしろ、迷っている子を見落とさないように後ろから着いていくことも大切なのかもしれない。
私は人の前に立つより、後ろから静かに見守る方が得意だ。だから、この羊飼いの役割をしっかりと果たそう。学校の中に何人かそんな先生がいてもいいだろう。